人色-hitoiro-
阿久津くんからの申し出を
断らなければ、ちゃんと
阿久津くんに送ってもらっていれば
あんな人達に絡まれる事もなかった。
京夜が助けてくれる事もなかった。
気持ちが揺らぐ事もなかった。
京夜「今日は早く寝た方がいい。」
伊織「うん。」
京夜「おやすみ。」
伊織「おやすみ。」
ねぇ、京夜。
今、何を考えてるの?
小さくなる背中に向かって
声にならない問いかけを
何度も何度も繰り返した。