白き竜の語り部
「まだ食う気か」

[当然であろう]

 鼻を鳴らす我にもう片足を差し出し、次に首を切り取る。

「頭もどうだ」

[おお、かたじけない。脳みそは格別に美味いのだ]

「角は」

[流石にそれは食えぬ]

「角も鹿の一部だろうに」

[そなた。解っていて我にいやがらせをしておるのか]

「そうだ」

 なんという物言いか。これが数千年を生きる我に対する態度なのかと呆れるばかりだ。

[それをどうするのだ]

「高く売れる」

[そうであるか]

 鹿の角は装飾品によく使われる。ペンダントトップだけでなくナイフの柄や、大きな角ならその鞘にもなる。
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