近づいてよ
そして三日後…私は笹沢さんに就業後に会社のエントランスを出た所で返事をした

「こんな私ですが…お、お願いします……」

「有難う……嬉しいよ、有難う…ホントに…」

笹沢さんはそう言うと周りをキョロキョロと見回してから私の手を握って呟いた

「よろしくね……美空……」

「は……はい…」


そのまま…二人で夕食を食べに行って
笹沢さんが初デートについて語りだした

「子どもっぽいかなとはちょっと思ったんだけど……一緒に動物園行かないか?」

ちょって照れくさそうに笑って提案してくれた

「動物園!最近行ってないから行きたいです!!」

「そっかよかった…なんかさ、沢山赤ちゃん生まれてるらしい動物園で……ちょっと気になってさ…」

笹沢さんと動物園…
何となくミスマッチな気はしたけれど
結婚を前提に付き合うってそう言うことなのかなって思えた

これから色々な笹沢さんを知って、もちろん私も知ってもらって
関係を深めていかないといけないよね

その先は夫婦、ほう家族になるんだから…



デートは結果的に楽しかった

会社ではバリバリ仕事をこなしてエネルギッシュな笹沢さんは少し強引な印象が、あったけれど

一緒に過ごすと気遣いの人で心地良かった

光と居ると必ずある『言い合い』みたいなものも起こらないし

「笹沢さんて、大人ですよね…」

「え?いや…そりゃあ美空から比べたらおじさんだけどね」

「おじさんじゃないです……笹沢さんはっ」

素敵だなって思った

「そう?良かった…所で修太郎って呼び難い?プライベートは名前で呼んで欲しいなぁ」

笹沢さんは綺麗なアーモンド型の目を優しく細めると
ね、と私の顔を覗き込む

(そっか……そうだよね…)

「しゅ……修太郎さん……」

思い切って口に出すと恥ずかしくて顔が熱い…

「わ……え、めちゃめちゃ可愛いな……名前呼ぶだけでソレ?可愛い過ぎるよ美空…」

「だって……幼馴染以外の男の人を名前で呼んだことなくて…」

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