近づいてよ
光は一体どういうつもりなのか
私には分からない

気にしないようにしたいのに戸惑ってしまって
修太郎さんと両親が話しているのをぼんやりと聞いていた

その後暫くして修太郎さんは帰ることになったので私たちは並んで駅まで歩いた





「光が失礼でごめんなさい……修太郎さん…」

「あぁ、気にしないでいいよ…複雑なんじゃないか?二人とも…さ?」

「え?」

修太郎さんは改札口付近、帰り際に言った

(二人とも?)

「光くんは美空を盗られたように思っただろうし………それに美空が誰を好きなのかは……前から知ってるよ?」

修太郎さんは驚く事を言い出した


「だけど…それでも俺を選ぶ、でしょ?それでいいんだ…俺は美空が好きだから」

アーモンド型の目が優しく笑う


笹沢さんが好きなのは本当の気持ちな筈なのに
なぜ、こんなにも光が忘れられないのだろう


トボトボと帰宅してから玄関の外で立ち尽くす私の目に
彩香ちゃんが映る

「あ、美空ちゃん…こんにちは」


彩香ちゃんの綺麗なブラウンの髪がサラサラと風に靡く

「光に呼び出されてねぇ…うふふ…これから、式場を見に行くの…美空ちゃんもどう?一緒に」


相変わらずうっとりする笑顔で邪気なく私を誘う彩香ちゃんの左手の指環が光る


「そう良かったね……私はやめとく…婚約者と行くから」

「残念……」

「……じゃ、ね!」

私の気持ちを知らない彩香ちゃんの気にするような視線に耐えられなくて

慌てて家の中に入った




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