近づいてよ
すっかり固まった私は緊張でカタカタ鳴る歯の振動に堪えながらどうにか口を開いて声を出した

「……好きだよ、幼馴染だもん」


乾いて掠れて酷い声が出るのにその事には触れずに光が自分の額に手を当てて呆れたような声を出す

「はぁぁ」

そして……さらに私を抱きしめた

「ひゃっ」

左手で腰を引き寄せられると
光は右手の長い指を髪から首筋に差し入れてくる

指が首筋に当たってぞくりとする

「オマエさぁ」

さらに指が首筋から耳へ上るから首を思わず竦めてしまう

「な、なによ」

「なんで?なんで……そんななの?」

さらに強く腰を抱き締められて思わず仰け反るのに

「逃がさない」

「ひ、光?」

光は私の髪に顔を埋めて頭の後ろに手を回した

「何年待たせるんだよ……」

「は?誰が待ってるの?」

状況が呑み込めず私はどうしていいのかわからずに……困りながら光に抱き締められていた

「オレ、オマエの事……」

「うん?」

「好きだ……子どもの頃から」

光は吐息と共に甘い声で囁く

(こんな甘い声……光から聞いたことない……よ?)

そしてフワッと包容を解くと
光の綺麗な眸がジッと目を覗いてきた

「美空のことだけ、大好きだ」

……甘い……



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