近づいてよ
私は項垂れた……言い負かされる前にちゃんと言わなきゃ

「光……」

「ん?」

光が今度は私の肩に両手を置くと
ん?と小首を傾げると綺麗な顔は途端に可愛らしくなる

24歳男性なのに、その辺の女性より断然可愛いってどうなのよ!!

「……笹沢さんと、もう決めたことなの」

光が目を見開き…そしてニヤリとちょっと意地悪そうに口の端が引き上がるのが見えた


こんな時でも
悔しいくらいに綺麗な顔立ち

「へぇ?」

怯まない、怯まない!!

「大体、私だって24歳だもん!」

光は目許をふっと緩ませると肩から手を離して後ろを向いた

私はこっそり呼吸を整える

スーハースーハース……ゲホッ

「お前昨日その笹沢?の隣でなんか『とろーん』とした潤んだ目しやがってさ?何言われてもカクカク頷くだけでさ?あんなんで相手が務まるのかよ」

「それは……」

(それはホントにいいのかって……あんな良い人…巻き込んでいいんだろうかなんて悩んでる……けど言えない!)

「それは?」

グッとこちらを向くと光が私をじっと見つめて……壁まで追い詰めてきた

「な……なに?」

「なんでもないけどー?なんで逃げんだよ」

(だから……心臓に悪いっ。)

「も、うるさい!とにかくほっといて!!
私はするの!笹沢さんと結婚するの!!」


思わず両手を突き出し、全力で光を押し返して叫ぶ

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