近づいてよ
一体なんなのよ……

まさか告白やら……キスやら全部電話で聞かれてたなんて!ありえない!!!


一気に力が抜けて、その場にへたり込んだ私を光が抱き上げた


「って訳だから、笹沢……諦めて?な?」

光はさらに胸の中に引き寄せて言う
腰が立たないのは安堵?なんのせい?分からないけど

「まぁ……二人の間には入り込めなそうだなと……気付いてたし、昨日改めて思ったよ……でも美空が好きなのは本当で……悪足掻きしにきちゃったかな」

修太郎さんの優しい声がする

「え?」

「挑発されたとは言え、光君の家で待機して……光君が好きだとしても美空はオレと結婚するって言ってくれるって少しは期待してたし……確証が欲しかったのかも」

「修太郎さん……ごめんなさい。」

「謝んなよ?諦める……実感したよこいつみたいに美空を好きでいることは出来ない…元の上司と部下に戻ろう?……じゃあ……な」


修太郎さんはそう言うと家を出ていった

優しい人を傷つけてしまった……

「……光、どういうこと?修太郎さんに何を言ったの?」

「んー??」

光はさらに私を胸に押し付けると息を吐いた
なんだか鼓動が早い気がする

(もしかして緊張してるの?)


「美空はさ………ほんとに覚えてないの?」

「え?何を?」

「『みくは、25歳で結婚するの
おうちはママたちの近くがいいの
カッコいいお婿さんと、丘の上の教会で結婚式するんだから………光くん、頑張ってね?』」

……光は淀みなく話す

(ん?)

「俺の渾身のプロポーズに応えた
お前、6歳の言葉」

「は?」

思い起こせば……、
言ったような気がする

けど??


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