楔~くさび~
仕事と恋と勉強と
私は高等部に進学した。
ただ、その時には仕事はモデルだけではとどまらず、ドラマに出たりCMに出たり、芸能活動が多くなっていった。
私の学校で芸能人がいるというのは初めてのことだったのでPTAも騒ぎ出し、会議があった。
結果はこうだ。
全出席日数のうち、5分の3以上出席すること。
テストがあるときは平均80点以上とること。
通知表は平均で4以上とること。
その3つをクリアするのなら芸能活動を認めますと。
嫌味なわけじゃないけど、勉強は嫌いじゃなかった。
仕事が終わると家では家庭教師が待っていた。
高校1年のときはこの約束を全てクリアした。
そして高校2年になった。
ゴールデンタイムのドラマに出ることになった。
役柄は病気持ちの芸能人の役。
ただ、学生という役じゃなかったから、そこは先輩の女優さんとかに聞いたりして役作り。
でも主要なキャストじゃないから、毎日スタジオには行かなくてもよかった。
でも勉強との両立はやっぱりしんどい。
ある日、テレビ局の食堂で台本片手に食事をとってたら、ある人が声をかけてきた。
それが、マコトの出会いだった。