楔~くさび~


冬。



前日にマオからお守りをもらった。


「このお守り、絶対効くから。オレが100%保証するから」って。


「落ちたらどうすんの?」って私が笑いながら言ったら困った顔をして「う~ん、う~ん」って頭かかえてた。可愛いなぁ、マオ。


「ありがと。絶対合格するっ!」ほっぺにチュ~した。


私はセンター試験を受験するため、T大学の門をくぐった。



2日間の日程が終わり、採点。



私は真っ青になった。


一番得意としてる英語。ここを得点源にするつもりだったのに。


・・・・・失敗した。


最悪だ。



採点結果を知った先生たちも何も言わない。


どうしよう・・・・。



マオに電話した。



手が震えて、涙が止まらない。



「マオ、マオ・・・・」


マオの名前を繰り返し呼ぶだけ。



いつも優しいマオがその日は違った。



「ピカ!!泣いてる場合じゃないだろ。泣いてて夢がかなうのか?まだチャンスはある。2次で、絶対に自分の力を出すんだ。自分の曲を作ってたくさんの人に聞いてもらうのが夢なんだろ?」


「マオ・・・」



「曲ができたら、一番にオレに聞かせろよ」
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