楔~くさび~

人の心が見えるのならば



「でさ、こっちが次のドラマの資料ね。ちゃんと目を通しておいてよ」


「あ~い。」


・・・ん?・・・・ええっ?


新しいドラマの企画資料を読んでたら、マオの名前を発見。嘘っ、同じ現場で仕事できるの!?


「どうしたの?」


マネージャーが怪訝な顔でこっちを見る。


「・・・いや、何でもないっす」


「何か隠してるでしょ?」


「いや~全然」


「隠してるね」


「隠してないってば」


「ヒカリが高校生の時から私は担当してんのよ。男の影くらいわかるわよ」


ゲッ。気づかれてたか・・・・。


「デートのときは必ず変装しなさいよ。あと、避妊は絶対!!」


「何でそういうムードのないこと言うかな」


「何言ってんの!?妊娠したらどうすんのよ。できちゃいました、アハハ、じゃ済まない仕事やってんのよ。無責任なことしないの。だいたいね、こういう仕事やってる人間を恋人にするんだったら、それくらいちゃんとわきまえてないとダメよ」


「(マオは)ちゃんとしてるよ。1回もしてないってことないもん」


「あら?ずいぶんしっかりした男を見つけたのね。で、誰なの?」


「言わな~い!絶対言わないもん」


マオと付き合い始めて3年がたつ。


明日は私の誕生日。


実は、3年前、あの観覧車がある公園でマオから告白された日、あの日も私の誕生日だったんだ。
< 27 / 40 >

この作品をシェア

pagetop