楔~くさび~
人の心が見えるのならば
「でさ、こっちが次のドラマの資料ね。ちゃんと目を通しておいてよ」
「あ~い。」
・・・ん?・・・・ええっ?
新しいドラマの企画資料を読んでたら、マオの名前を発見。嘘っ、同じ現場で仕事できるの!?
「どうしたの?」
マネージャーが怪訝な顔でこっちを見る。
「・・・いや、何でもないっす」
「何か隠してるでしょ?」
「いや~全然」
「隠してるね」
「隠してないってば」
「ヒカリが高校生の時から私は担当してんのよ。男の影くらいわかるわよ」
ゲッ。気づかれてたか・・・・。
「デートのときは必ず変装しなさいよ。あと、避妊は絶対!!」
「何でそういうムードのないこと言うかな」
「何言ってんの!?妊娠したらどうすんのよ。できちゃいました、アハハ、じゃ済まない仕事やってんのよ。無責任なことしないの。だいたいね、こういう仕事やってる人間を恋人にするんだったら、それくらいちゃんとわきまえてないとダメよ」
「(マオは)ちゃんとしてるよ。1回もしてないってことないもん」
「あら?ずいぶんしっかりした男を見つけたのね。で、誰なの?」
「言わな~い!絶対言わないもん」
マオと付き合い始めて3年がたつ。
明日は私の誕生日。
実は、3年前、あの観覧車がある公園でマオから告白された日、あの日も私の誕生日だったんだ。