楔~くさび~
第二章
愛は本当に存在するのですか?
~30年後~
「ねぇ、ホタル」
「何?」
「私のこと本当に好き?」
「ははっ、何言ってんだよ」
ホタルが私の顔を覗き込む。
「心配なの?」
「うん」
「それは、歳の差とか?」
「それもある」
「『も』?他にもあんの?」
「私は、この世界に本当に愛があるのかわからないから。」
「オレはヒカリが必要なんだけどな。だからプロポーズしたんだけどな。」
「浮気しない?」
「しないよ。ヒカリを世界で一番幸せにする」
ホタルが私の顔を見る。
「そんなに心配?だから、そんなに寂しそうに笑うの?」
「えっ、私、またいつもの癖、出ちゃった?そんなつもりないんだけどな」
私は、目の前にいるホタルと婚約中。
ここまで長い道のりがあった。
多分、ううん、絶対、私はこの人と幸せになる。