楔~くさび~
その部屋を出て、さっきの部屋の2つ隣の、今、誰もいないらしい部屋に入った。
すると、突然その人の態度が変わった。
「綺麗な足してるね。やっぱりモデルは違うな」
・・・・えっ?
騙された。そう感じたときは既に遅かった。
私はそいつに押し倒された。
誰か、誰か助けて!!
足をバタバタさせても、力ですぐにねじふせられる。
今いる部屋のドアが少し開いているのが見えた。鍵はかけられてないんだ。誰かに気づいてもらわなくちゃ。
もがきながら、何かないか探す。
今日は制服のまま来たから、学校のカバンしか持って来てない。
一番気づいてもらえる方法。大声を出すしかない。
大声を出そうとしたとき、その男が大きな手のひらで私の口をふさいだ。
どうしよう。
私の右手の近くにあるカバンは、中身が出てグチャグチャになっていた。
ペンケースが見えた。
缶のペンケース。
私はそれを思いっきり足で蹴って、それがドアに思い切り当たって音が出るようにした。
誰かが駆けて来る音がした。
・・・・助かった?私、助かった?