〜starting over〜
思いのままに、唇を貪ったら、いつの間にかしまったドアの向こうから「あまーい!」と茶々が入る。
お陰で、それ以上は帰宅してからとなった(勿論、此処で始めるわけがない)。
杏が、ライブ終了後、地元の因縁のある友達の結婚式に向かったと聞いて、後を追った。
曲がりなりにも人気のあるMuseだ。
デビュー当時はバッシングも多かったが、今はMuse内でも名実ともに実力派シンガーへと成長した。
そんな自分の価値を過去のまま、杏は見誤ってる。
それだけ、現状に万足せず我武者羅に日々前進しているって事なんだろうけど……。
今は圧倒的にMuseを牽引し始めている。
灼熱の縁天下のライブで、マイが途中で体調不慮から声が出なくなった事件があった。
誰よりも素早く胸を押さえるマイを支え、ステージ脇に移動してスタッフにバトンタッチした後すぐに歌に戻りマイのパートも完遂した件だ。
杏がしゃしゃり出たという一部声もあるが、マイを預かったスタッフが言っていた。
杏の手が震えていた、と。
杏は、本当は怖かったんだ。
自分達の支えであるマイが倒れ、立ち止まってしまいそうだった。
でも、目の前にいる大事なファン達に動揺を悟らせまいと、必死だったんだ。
そして、それがマイが引退を決意した切っ掛けだ。
もうMuseに杏は縛れない、と。
杏が歌で自己評価が低いのは俺の所為でもあるのだが……。
兎に角、そんな杏がマネージャーと2人でなんて、迂闊すぎる。
何より、真輝がいるだろうことが気に入らない。
式場に到着し、目的地であろうバンケットホールの周りに人だかりが出来ていた。
『Dear my……』を唄う杏の声が漏れている。
人だかりをかき分け、扉を開くと、ミニステージで唄う杏の姿があった。
何処からともなく、俺を見つけたゲストが名前を叫び、必然的に杏の横に立つ事に。
瞠目する杏が可愛い。
が、真輝の姿を認識し、杏を見つめる視線の熱量に込み上げてくる不快感。
だけどな。
今の杏の隣に立てる資格はお前にはねぇんだよ。
ギターを借りて、曲を奏でる。
杏を輝かせるのは俺だけだ。
そして、最後に宣言する。
杏はこれから先、ずっと俺のものだ、と。
ラストツアー最終日、Museメンバーは改めて、これから進む其々の進路について発表をした。
お陰で、それ以上は帰宅してからとなった(勿論、此処で始めるわけがない)。
杏が、ライブ終了後、地元の因縁のある友達の結婚式に向かったと聞いて、後を追った。
曲がりなりにも人気のあるMuseだ。
デビュー当時はバッシングも多かったが、今はMuse内でも名実ともに実力派シンガーへと成長した。
そんな自分の価値を過去のまま、杏は見誤ってる。
それだけ、現状に万足せず我武者羅に日々前進しているって事なんだろうけど……。
今は圧倒的にMuseを牽引し始めている。
灼熱の縁天下のライブで、マイが途中で体調不慮から声が出なくなった事件があった。
誰よりも素早く胸を押さえるマイを支え、ステージ脇に移動してスタッフにバトンタッチした後すぐに歌に戻りマイのパートも完遂した件だ。
杏がしゃしゃり出たという一部声もあるが、マイを預かったスタッフが言っていた。
杏の手が震えていた、と。
杏は、本当は怖かったんだ。
自分達の支えであるマイが倒れ、立ち止まってしまいそうだった。
でも、目の前にいる大事なファン達に動揺を悟らせまいと、必死だったんだ。
そして、それがマイが引退を決意した切っ掛けだ。
もうMuseに杏は縛れない、と。
杏が歌で自己評価が低いのは俺の所為でもあるのだが……。
兎に角、そんな杏がマネージャーと2人でなんて、迂闊すぎる。
何より、真輝がいるだろうことが気に入らない。
式場に到着し、目的地であろうバンケットホールの周りに人だかりが出来ていた。
『Dear my……』を唄う杏の声が漏れている。
人だかりをかき分け、扉を開くと、ミニステージで唄う杏の姿があった。
何処からともなく、俺を見つけたゲストが名前を叫び、必然的に杏の横に立つ事に。
瞠目する杏が可愛い。
が、真輝の姿を認識し、杏を見つめる視線の熱量に込み上げてくる不快感。
だけどな。
今の杏の隣に立てる資格はお前にはねぇんだよ。
ギターを借りて、曲を奏でる。
杏を輝かせるのは俺だけだ。
そして、最後に宣言する。
杏はこれから先、ずっと俺のものだ、と。
ラストツアー最終日、Museメンバーは改めて、これから進む其々の進路について発表をした。