〜starting over〜
明日なんて解らないけど、こんな時間がずっと続いてくんだと思ってた。

真輝が読モを始めるまでは。

切っ掛けは、真輝が東京にいる自分のお兄さんのところへ遊びに行った時。
スカウトマンに声を掛けられたらしい。
田舎だから、有名ファッション誌に載るだけで、そこら中大騒ぎになった。
特に女子ね。
しかも、反響があったとかで読モとなった真輝は、年頃だったし、見た目もお洒落になったり、色んな意味で目覚めて(・・・・)しまった。
その一方で、私に対する周囲の風当たりは強くなるばかりで、見世物のような扱いを受けるようになっていった。
真輝には取り巻きも出来て、嫌がらせや心無い言葉を投げかけられたり、誹謗中傷は当たり前。
あからさまに、昨日ベッドでずっと一緒だったと言われたことも何度もある。
だからいつも、連絡が取れない時は、女の子といるんじゃないかと、猜疑心で眠れない日もあった。
人前では、心から感情を剥ぎ取って、平気なふりをしていたけど、本当に辛かった。

寂しくて、悲しくて、悔しくて、激情に揺れる日もあった。
それでも、私を踏みとどまらせるのは、2人楽しかった日々が確かにあったという思い出。
それらは、最後はいつも私の心を掴んで離さない。
何度も何度も自問自答しても、寸でのところで結論を先送りしてしまう。
< 32 / 104 >

この作品をシェア

pagetop