〜starting over〜
「……そう。それで治ったの?」
「今もカウンセリングに通いながら治療中」
「そう。正直、性依存症の事は、私にはよく解らないわ。何となく、大変だったんだろうなとは思うけど。だからと言って、当時の自分の苦しさが半減するわけでもない。あなたは、私が許すと言えば、満足なの?」
「俺達やり直し……」
「無理だわ」
最後まで言葉を聞かず拒絶する。
過去、私がどれだけの浮気を水に流してきたか。
時間は人の心を癒すとは言うけど、私の心は10年たった今も真輝を受け入れられない。
「真輝には真輝の事情があったのかもしれない。でも、校内で浮気を堂々と繰り返す真輝の存在が、私をどんな惨めな状況にしていたのか知らないとは言わせないわ。病気だとしても、もっと、違う手段があったはず」
「ごめん……」
「終わった事を今更どうこう言って元には戻れないし、私の気持ちも戻らない。それに……今、とても大事な人がいるの」
「そうか……。幸せ、か?」
私達の曖昧な関係に、言い淀む。
「……恋を愛にしたいとは思ってる」
「そうか……」
私の曖昧なこたえに、複雑そうな表情を浮かべる。
室内に微妙な沈黙が流れた時、
「この話はここで終わりだな。杏はもう自分の道を進んでいる。『無い』と言い切ってるんだから、引くべきだろう。」
島田君が突然の終結宣言をした。
「次は、仕事の話をしよう。まず、今回依頼を引き受けてくれてありがとう」
CMのゲームアプリ会社ってのは嘘ではないようだ。
「あなた達2人が関係してると知らなかったのよ」
「あはは。俺達もまだまだ精進しなきゃいけないな」
新しく設立され、ここ数年で一気に上昇してきたゲームアプリ会社という認識しかなかったし。
「俺、昔から趣味でゲーム作ってただろ?真輝が、もっと色んな人にこのゲームで遊んでもらおうってので、クラウドファンディングで資金を作って設立してくれたんだ。2人で始めた会社がこんなに大きくなるとは予想外だったけど……お陰でまた杏に会えた」
「CM撮影を終えておいてこんな事言うのもなんだけど、この話無かったことにしてくれてもいいわ」
「そんな事しないさ。Museの解散まで、俺達は杏のスポンサーになるよ」
「でも……」
「支えたいんだ」
言い淀む私に、真輝が力強くこたえた。
「どんな形でも、力になりたい。やっと、支えられる力が出来た。最後まで全力でバックアップする」
迷いのない瞳で、真っすぐこちらを見てくる。
今波に乗りまくってる企業がスポンサーについてもらえるのは有難いことだ。
「俺達とのつながりなんて気にしなくていいよ。こっちで勝手にスポンサーになるんだ。俺達と会うのも、これが最後でも構わない。ただ……」
島田君が、言い難そうに口ごもる。
「今もカウンセリングに通いながら治療中」
「そう。正直、性依存症の事は、私にはよく解らないわ。何となく、大変だったんだろうなとは思うけど。だからと言って、当時の自分の苦しさが半減するわけでもない。あなたは、私が許すと言えば、満足なの?」
「俺達やり直し……」
「無理だわ」
最後まで言葉を聞かず拒絶する。
過去、私がどれだけの浮気を水に流してきたか。
時間は人の心を癒すとは言うけど、私の心は10年たった今も真輝を受け入れられない。
「真輝には真輝の事情があったのかもしれない。でも、校内で浮気を堂々と繰り返す真輝の存在が、私をどんな惨めな状況にしていたのか知らないとは言わせないわ。病気だとしても、もっと、違う手段があったはず」
「ごめん……」
「終わった事を今更どうこう言って元には戻れないし、私の気持ちも戻らない。それに……今、とても大事な人がいるの」
「そうか……。幸せ、か?」
私達の曖昧な関係に、言い淀む。
「……恋を愛にしたいとは思ってる」
「そうか……」
私の曖昧なこたえに、複雑そうな表情を浮かべる。
室内に微妙な沈黙が流れた時、
「この話はここで終わりだな。杏はもう自分の道を進んでいる。『無い』と言い切ってるんだから、引くべきだろう。」
島田君が突然の終結宣言をした。
「次は、仕事の話をしよう。まず、今回依頼を引き受けてくれてありがとう」
CMのゲームアプリ会社ってのは嘘ではないようだ。
「あなた達2人が関係してると知らなかったのよ」
「あはは。俺達もまだまだ精進しなきゃいけないな」
新しく設立され、ここ数年で一気に上昇してきたゲームアプリ会社という認識しかなかったし。
「俺、昔から趣味でゲーム作ってただろ?真輝が、もっと色んな人にこのゲームで遊んでもらおうってので、クラウドファンディングで資金を作って設立してくれたんだ。2人で始めた会社がこんなに大きくなるとは予想外だったけど……お陰でまた杏に会えた」
「CM撮影を終えておいてこんな事言うのもなんだけど、この話無かったことにしてくれてもいいわ」
「そんな事しないさ。Museの解散まで、俺達は杏のスポンサーになるよ」
「でも……」
「支えたいんだ」
言い淀む私に、真輝が力強くこたえた。
「どんな形でも、力になりたい。やっと、支えられる力が出来た。最後まで全力でバックアップする」
迷いのない瞳で、真っすぐこちらを見てくる。
今波に乗りまくってる企業がスポンサーについてもらえるのは有難いことだ。
「俺達とのつながりなんて気にしなくていいよ。こっちで勝手にスポンサーになるんだ。俺達と会うのも、これが最後でも構わない。ただ……」
島田君が、言い難そうに口ごもる。