〜starting over〜
生放送中の事故を覚悟した、瞬間。
「杏っ」
その声とともに、がっしりとした腕に引っ張られ、抱きしめられた。
大きな衝撃も受けず、湊さんの胸の中、身体がホールドされたまま。
「湊さんに……こんな瞬発力があったなんて……」
「今それじゃないだろう」
そうでした……。
番組スタッフとMuseのメンバ―が慌ててやってきて、私の状態を確認する。
「大丈夫!?」
「怪我はありませんか!?」
私より湊さんが……。
メンバーの肩の間から湊さんの状態を窺うけど、スタッフに囲まれててその姿が見えない。
「湊さん……」
駆け寄ろうとして、
「大丈夫?いけそう?」
マイの声に我に返る。
「私は……大丈夫」
「行くよ」
後ろ髪を引かれながらも、湊さんを囲むスタッフさんの壁を見つめる。
スタンバイすると、すぐ曲が流れた。
私は、今やるべき事をしなきゃ。
ステージで意識を集中させた。
番組は無事エンディングを終えて、私はWhateverの楽屋へ向かうと、湊さんは何食わぬ顔でスマホを弄っていた。
あれだけスタッフさんに囲まれてたから、何かあったかと心配したのにっ。
私に気付いてるはずなのに、知らんぷりして腹立たしい。
スマホを握る手をどかすと、やっと私の方を見る。
絶好調の不機嫌顔。
ギュッと首に抱き着くと、安心した所為か涙が溢れてきた。
「あれくらいで怪我なんかしねーよ」
湊さんが私の腰を抱く。
「おまえは、なんともないのか?」
小さく頷くと、そうかと一言。
「湊さん、私の事、好き?」
「さっきの実体験話で、他に誰が当てはまんだよ」
「私、セフレじゃない?」
「は~あ?どっからその発想になるんだよ」
心底呆れたとばかりな溜め息が吐かれる。
「だって……」
「……俺に言葉が足りない自覚はある。でも……俺が抱きたいと思うのも、傍に置きたいと思うのもおまえだけだ」
「それって私の事好きって事?」
「他にどんな言葉が当てはまる?おまえだって元カレと……」
「私には、湊さんだけだよっ」
「……それは良かった」
見つめ合うと、どちらからともなく、唇を重ねた。
気を使わせてしまったのか、室内には私達しか残されてなかった。
ただ、外から「あまーーーーい!」と奈々の声が聞こえた。
「杏っ」
その声とともに、がっしりとした腕に引っ張られ、抱きしめられた。
大きな衝撃も受けず、湊さんの胸の中、身体がホールドされたまま。
「湊さんに……こんな瞬発力があったなんて……」
「今それじゃないだろう」
そうでした……。
番組スタッフとMuseのメンバ―が慌ててやってきて、私の状態を確認する。
「大丈夫!?」
「怪我はありませんか!?」
私より湊さんが……。
メンバーの肩の間から湊さんの状態を窺うけど、スタッフに囲まれててその姿が見えない。
「湊さん……」
駆け寄ろうとして、
「大丈夫?いけそう?」
マイの声に我に返る。
「私は……大丈夫」
「行くよ」
後ろ髪を引かれながらも、湊さんを囲むスタッフさんの壁を見つめる。
スタンバイすると、すぐ曲が流れた。
私は、今やるべき事をしなきゃ。
ステージで意識を集中させた。
番組は無事エンディングを終えて、私はWhateverの楽屋へ向かうと、湊さんは何食わぬ顔でスマホを弄っていた。
あれだけスタッフさんに囲まれてたから、何かあったかと心配したのにっ。
私に気付いてるはずなのに、知らんぷりして腹立たしい。
スマホを握る手をどかすと、やっと私の方を見る。
絶好調の不機嫌顔。
ギュッと首に抱き着くと、安心した所為か涙が溢れてきた。
「あれくらいで怪我なんかしねーよ」
湊さんが私の腰を抱く。
「おまえは、なんともないのか?」
小さく頷くと、そうかと一言。
「湊さん、私の事、好き?」
「さっきの実体験話で、他に誰が当てはまんだよ」
「私、セフレじゃない?」
「は~あ?どっからその発想になるんだよ」
心底呆れたとばかりな溜め息が吐かれる。
「だって……」
「……俺に言葉が足りない自覚はある。でも……俺が抱きたいと思うのも、傍に置きたいと思うのもおまえだけだ」
「それって私の事好きって事?」
「他にどんな言葉が当てはまる?おまえだって元カレと……」
「私には、湊さんだけだよっ」
「……それは良かった」
見つめ合うと、どちらからともなく、唇を重ねた。
気を使わせてしまったのか、室内には私達しか残されてなかった。
ただ、外から「あまーーーーい!」と奈々の声が聞こえた。