〜starting over〜
ずっと私の味方だと思ってたのに。
寝起きは最悪だった。
夜中に起きてはスマホを見て。
ラインを開いては、既読になるのを待って。
うとうとしては、また目が覚めてスマホを見て……。
苦しい時間を過ごした。
『バイト終わった?』
帰り際、バイトの先輩に捕まったのかな。
『何かあった?』
バイトでトラブってる?
『もう遅いから寝るね』
時間的に会いにくるのはもう無理だよね……。
既読のつかないラインを何度も送りながら、嫌な予感に心震える。
それに具体的な名前を付けず、都合よく打ち消して……。
今、誰かと一緒にいるの?
会いに来るって言ったのに―――。
悔しくて、悲しくて、苦しくて。
私の何がいけないの?
えっちをおあずけにした事?
でも、それは受験シーズンだったし……今なら……。
それとも、加奈子先輩みたいに華やかな美人が良くなったとか?
でも、彼女し私って公言てくれてるし。
でも、それも肩書だけって言うか……。
でも……。
結局はいつもの事。
いつの間にか日常化した真輝の浮気。
真輝自身、否定も肯定もしない。
だから、たいした事じゃない。
学校に行けば、真輝は他の女の子と一緒に居ても必ず私のもとに戻ってきてくれるじゃない。
真輝の心は、まだ私にある。
だから、まだ大丈夫。
まだ……。
そう言い聞かせては、感情を矜持で押し殺して、流れる涙を枕で堰き止めた。
辛いよ……。
早く夜が明ければいい。
それで、学校に行って、真輝に会って、笑顔で私の所に来てくれたらこの不安が取り除きたい。
仮令、予想通りの理由があったとしても、真輝が傍に居ない不安よりはマシ。
長い、長い夜。
やっと窓の外が白み始めて、鳥の囀りが聞こえてきた。
まだ両親が寝ている部屋の前をそっと通り、階下の洗面所で顔を洗う。
予想通り腫れた瞼。
目の下には、クマがうっすら。
我ながら酷い、酷すぎるっ。
肌はガサガサで、とても花の10代とは思えない顔に溜め息を吐いて、冷たい水に浸したタオルで瞼をおさえた。
洗面台の引出しに、お母さんのちょっと良いパックがあったよね?
あれを使えば……て、ダメだ。
お母さんに怒られる。