イジメ返し3
1時間目の授業が始まり、担任が黒板にチョークを走らせる。

クラスメイト達はどことなく落ち着かない様子で、カンナに視線を送る。

本当にパパ活をやってるのか。もしくは誰かにハメられたのか。

みんな本当のことが知りたくてうずうずしているんだろう。

そのとき、ガラガラっと教室の扉が開いた。

「安西さん、また遅刻よ!今月何回目なの?」

「寝坊しちゃったんだからしょうがないじゃん」

担任に叱責されても目も合わさず堂々と自分の席に向かって歩く美波。

みんな息をのむようにその姿に視線を向ける。

美波は自分の席の横までくるとカンナを見下ろした。

そして、口の端だけを持ち上げて意地悪く笑った。

どうだ。ざまあみろ。とでも言わんばかりの邪悪な笑みにグツグツと怒りが沸き上がってくる。

そう。そっちがそのつもりなら、カンナももう黙ってないから。

美波が自分の席に腰かけた。

カンナはパッと右手を高く掲げた。


「先生……!質問がありまーーす!」

「西園寺さん、何?どこか分からないことあった?」

「あのねぇ、学校裏サイトに勝手にカンナのことが載せられちゃってるの。そういう場合ってどうしたらいいんですかぁ~?」

「えっ!?」

目玉が飛び出るんじゃないかと心配になるぐらい目を見開き、口をあんぐりと開けた先生。

教室中がシーンっと水を打ったかのように静まり返る。

美波の背中がわずかに反応を示した。

「ど、どういうこと?学校裏サイト?」

「カンナね、見知らぬおじさんに娘と勘違いされて声をかけられて肩を組まれたの。それを誰かが写真にとって裏サイトに画像を貼ったの!」

大声で主張すると、静まっていた教室内は一転してザワザワと騒がしくなった。

「そ、そんなことが……?分かったわ。ひとまず、授業が終わったらその確認を――」

先生がそう言った瞬間、「そんなのないでしょ?」美波がクルリと振り返った。
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