イジメ返し３
クソ！どうして……どうして俺がこんな目に……！

必死に脳みそをフル回転させて今の状況を乗り切る術を考える。

すると、誰かがうつむく俺に近付いてきた。

「渡辺君」

「……森田……？」

顔をあげると、そこには森田の姿があった。

俺を見下ろしながら、森田は自分のブレザーを脱ぎ、俺に差し出した。

「これで隠すといいよ」

「お前……」

俺は森田に大量の飲み物を飲ませてトイレに行かせず、腹部を蹴ったのに。

クラスメイト達の前で漏らしてうつむいて涙を流す森田の姿が脳裏に浮かぶ。

「……おう」

次は森田をターゲットにするのはやめよう。

ここぞとばかりに俺を口汚く罵ったやつを絶対に許さない。

ブレザーに手を伸ばすと、あと一歩というところでスッと目の前からブレザーが消えた。

「――なんてね。そんなの都合がよすぎるよ」

ブレザーを再び羽織った森田は俺をぎろりと睨み付けた。
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