イジメ返し3
頬に熱いものを感じて指で触る。
「泣いてんの?女々しすぎて気持ち悪いから」
自分が数日前に放った言葉をブーメランのように今度は森田に打ち込まれてしまった。
信じられなかった。自分の意思に反して、涙は流れ続ける。
泣きたいわけじゃない。それなのに、つぎからつぎから涙が溢れて止まらない。
森田は「マジで臭い。掃除、ちゃんとやりなよ?」と鼻をつまんで俺から離れていった。
「先生まだなの?マジ、無理!吐きそう!」
生物室の中は汚物の匂いが充満し、逃げるように生物室を出て行く生徒たち。
一部の生徒はスマホを構えて俺の姿を撮影している。
体中から力が抜けていく。
俺にはかばってくれる人間がひとりもいなかった。