イジメ返し3
「……美波……」

いや、いた。一人だけ。

キッカケはどうあれ、俺は6年間美波と付き合い続けてきた。

美波だって俺に愛情があるはずだ。

パッと顔を持ち上げて美波の姿を探す。

すると、生物室から出て行こうとしている美波の後姿が目に飛び込んできた。

「美波!!」

叫ぶと、美波はゆっくりと振り返った。

そして、俺をじっと見つめた。

「もううちら終わりだから。二度とあたしのこと気軽に美波とか名前で呼んだりしないでよ。アンタと付き合ってるなんてマジ恥だし。もう学校来なくていいから。じゃあ」

美波は吐き捨てるように言うと、そのまま砂羽を引き連れて生物室を出て行く。

振り返った砂羽は楽しそうにスマホを構え、俺の情けない姿をレンズに映しているようだった。
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