イジメ返し3
――終わった。終わってしまった。

自分の人生の根底を覆すようなことをしでかしてしまった。

大勢の前で脱糞し、イジメていた奴に逆にバカにされ、哀れみと同情のこもった目を向けられる。

静まり返った生物室の床に汚物にまみれながら座り込んでいる自分の姿を客観的にとらえた瞬間、焦燥感が全身に走った。

今後のことを考えると吐き気を催しそうになり、慌てて口に手を当てる。

「美波ちゃんってひどいよねぇ。6年間も付き合ってた翔平君のことたった一回の失敗で一方的に関係を経つなんてさぁ」

少し離れた場所からカンナがテーブルに頬杖を突きながら声をかけてきた。

「お前……まだいたのか……」

カンナがいることすら気付かなかいぐらい、俺は周りが見えていなかったようだ。

「でもね、大丈夫だよぉ。美波ちゃんにはカンナがちゃーんっとお仕置きしておくからね」

カンナは俺の言葉を無視して天使の様な笑みを浮かべると、スッと席を立った。

それと入れ違いになるように数人の教師を伴った生物の教師がタオルや着替えを手に生物室に入ってきた。

教師は誰一人として俺を励ましてはくれなかった

また厄介事を増やしたと感じているんだろう。

自分が大勢の人間に疎まれ、厄介者扱いされていたことに俺はこのときようやく気付いた。
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