イジメ返し3
「自分のスマホとやらで呼んだらどうだい?それに、公衆電話だっていいだろう。こんな夜遅くにやってきた君に怒鳴られて命令される筋合いなどないぞ!」

眉間にしわを寄せて不快感丸出しの目を俺に向けると、ジジイは扉のドアノブに手をかけた。

公衆電話なんて近くにない。だから頼みに来たのに……――。

「おい、閉めるなよ!事情は後で話す!だから、救急車を呼んでくれ!頼むよ!」

「他の人に頼めばいいだろう!」

ジジイはなおも扉を閉めようとする。

どうしてだよ……。

俺の日頃の行いが原因なのか……?

まさかその報いを今受けることになるなんて。

必死になって救急車を呼んでほしいと頼んでも、信じてもらえないなんて思いもしなかった。

もう方法はひとつしかなかった。

俺は大きく息を吸い込み、一気に吐き出した。

「早く電話しろって言ってんだろ!?くそジジイ、テメェ早く呼べよ、コラァ!!!」

大声をあげて恫喝しながら玄関扉を力任せに蹴り上げる。

「早くここ開けろ!!殺すぞ!!」

「ば、ばあさん!!今すぐ警察を呼んでくれ!!!」

「分かりました!」

部屋の奥でババアが警察に電話をかけている声が聞こえた。

これでいい。

ジジイの言葉にホッと胸をなでおろすと、俺は再び階段を駆け上がった。
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