イジメ返し3
なんだろう、この気持ちは。

翔平君へのイジメ返しは成功だ。

彼は今までしてきた自分の行いを悔やみ続けるだろう。

あの時こうしていたら、こうしていれば。

そんなどうしようもないたらればを繰り返し、神経をすり減らしていくのは目に見えていた。

今回のターゲットは翔平君だけだった。

それなのに、結果はどうだ。

翔平君のママが殺されてしまうという事態になってしまった。

初めてかもしれない。計画通りにいかなかったのは。

悪者ではない翔平君のママをカンナが……巻き込んだ?

無意識に下駄箱から上履きを取り出して履き替える

「……――ちゃん。カンナちゃん?」

何度も名前を呼ばれてハッとする。

そこにはカンナの顔を覗き込む桃ちゃんの姿があった。

「あっ、桃ちゃん~!おはよ~!」

「何か考え事?」

「ううん、何でもない!」

笑いながら答えると、背中にドンっという衝撃を感じた。

持っていた革靴が手元から離れ、床に転がる。

「邪魔。そんなとこに突っ立ってんじゃないわよ」

美波はそう言うと、カンナの革靴を蹴飛ばした。
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