イジメ返し３
翔平の腕に自分の腕を絡ませながら歩く美波。

体全体から殺気を放ち、そばにいる生徒達を威嚇する翔平。

「邪魔なんだよ、どけ！」

翔平は道を譲るのが少し遅れただけの生徒を足で蹴飛ばす。

生徒たちは乱暴な翔平を恐れているようだ。

横暴なその態度はまるで暴君でしかない。

その翔平をうっとりとした表情で見つめている美波にはほとほと呆れかえる。

カンナはスマホをいじりながら隣を歩く砂羽ちゃんに問いかけた。

「ねぇ、砂羽ちゃん。美波ちゃんと翔平くんっていつもああなの？」

「まあね。あの二人がこの学校のトップだから」

いまだに視線はスマホに向けたままの砂羽。

「へぇー、そうなんだぁ」

「あのさ、一つだけ忠告しておいてあげる」

「なぁに？」

「翔平にだけは手出さないほうがいいよ。あの二人、中学から付き合ってて、翔平にちょっかい出そうとした女は色々大変な目にあってるから」

「ちょっかい？」


「そう。たとえ手を出してなかったとしても、美波に誤解されたら終わりだから」

「ふーん」

砂羽ちゃんは一度カンナに視線を向けてそう言った後、再びスマホに視線を落とした。
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