イジメ返し3
「あのっ、それでお話というのは……?」

カンナの前の席に座ると、男性はカンナをジッと見つめながら切り出した。

オドオドした様子の男性の隣で女性も困惑したような表情を浮かべる。

「安西美波と、その一家のことで――」

「あ、安西!?アイツらの仲間なのか?僕たちをいつまでいたぶれば気が済むんだ!」

美波達の名前を口にした途端、男性は生気のない目をカッと見開き、テーブルをバンッと右手で叩いた。

途端、周りに座っていたお客さんが一斉にこちらに視線を向ける。

「カンナは美波ちゃんの仲間なんかじゃないよ。おじさんたちの仲間でもあり、里子ちゃんと同じ被害者でもあるの」

「それって……どういうこと……?」

「今、里子って……」

里子ちゃんの両親は今にも泣きだしそうな表情を浮かべた。

「カンナね、美波ちゃんに幼稚園の時からイジメられてたの。ううん、それだけじゃない。カンナのママは美波ちゃんたち一家に追い詰められて自殺した。カンナもおじさんやおばさんや里子ちゃんと同じだよ。安西一家の被害者だから」

そう言うと、里子ちゃんのママは唇を震わせた。

「まだ……あの子……誰かをイジメてるの……?」

「美波ちゃんは里子ちゃんが自殺してからもイジメを続けてる。なんの反省もしてないの。おばさん、前に見てたでしょ?美波ちゃん一家が庭でバーベキューしてた時、カンナが雑用やらされてたところ」

あの時間違いなく、里子ちゃんのママはカーテンの隙間からこちらを伺っていた。

「あの時の子……あなただったのね……?」

「そうだよ。カンナね、あの時1枚しかないママの写真を美波ちゃんに盗まれて燃やされちゃったの。やめてってお願いしても美波ちゃんはやめてくれなかった。美波ちゃんはそういう子だよ」

カンナの言葉に里子ちゃんの両親は肩を震わせた。
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