イジメ返し3
「あっ、おじさん。終わったならペンチ貸してもらえる~?」

すると、カンナはあたしの言葉を無視して里子の父親の方へ歩みを進めた。

チラリと視線を向けると、両親は両手両足の爪を全て剥がされていた。

痛みに悶絶しながらも、必死になって言葉にならない声でうめき声をあげながら里子の両親に訴えかけている。

今まで誰かに対してあんな態度を両親が見せることは一度もなかった。

どんな時だって誰に対してだって屈することなく自分の意見を貫いてきた。

そんな両親に反論する者も盾をつく者もいない。

ずっとそう信じて生きてきた。いや、そうしないとこの家では生きていけなかった。

「あらぁ~、美波ちゃんのパパとママってばずいぶん痛そうだねぇ~?」

「ううぅぅーーーーあぁぁーーーー!!」

カンナは楽しそうに爪を剥がされて皮膚がむき出しになった両親の足を交互にグリグリと踏みつける。

そのたびに両親の顔は苦悶に満ち、体全体で必死に抵抗する。
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