イジメ返し３
「お願いだから……もうやめてよ……！！」

涙ながら必死に頼み込む。

プライドも自尊心もすべてを投げうってでもこの痛みから今すぐに解放されたかった。

「美波ちゃんはある意味被害者かもしれないよねぇ。もっとまともな親の元に生まれてまともな教育を受けてこられれば今とは違う結末になったのかもねぇ。美波ちゃんだってそう思ったことあったでしょ～？」

カンナの言葉に唇を震わせる。

今まで生きてきてずっと目を反らしてきたその事実を目の前に突きつけられる。

「美波ちゃんは知ってた？翔平くんのママから毎月１万円を慰謝料として受け取っていたこと」

「は……？なにそれ……」

「知らなかったんだね？美波ちゃんのパパとママは中学の時に美波ちゃんにケガをさせた慰謝料として毎月お金を請求してたの」

「そんな……まさか……」

両親に視線を向けても、里子の両親からの制裁を受けてもう虫の息だ。

聞くに聞くことができない。

中学に入学してすぐ、あたしは翔平を好きになった。

初めてだった。あんなに誰かを夢中で好きになったのは。

あの日、翔平からケガをさせられたのは事故だった。故意ではないと分かっていた。

だけどあの事故をキッカケにあたしは翔平を手に入れることに成功した。

両親が慰謝料を請求すると息巻いていたのも知っている。

でも、あたしが交換条件で翔平と付き合うことになったと話すと両親は『それなら慰謝料は請求しない。美波の彼氏の親にそんなことはできない』と言っていたのに。

それなのに……あたしが知らないのをいいことに両親はずっとあたしをだまし続けてきたっていうの……？

「好きな人と付き合うために相手を脅す方法しか思いつかない美波ちゃんって本当に哀れな人間だねぇ」

「やめて……」

頭がずきずきと痛む。

「美波ちゃんの両親は美波ちゃんを愛してくれなかったんだね。美波ちゃんは都合のいいように利用されていただけ」

「もうやめてよ……」

自分の声がかすれる。

「美波ちゃんがカンナや桃ちゃんをイジメたのは愛されているカンナたちが羨ましかったからだよ。それを僻み、妬んでいたから」

「もうやめて！！！」

リビングの中にあたしの絶叫がこだまする。

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