イジメ返し3
今がチャンスだ……!

叫び声に気付いた近所の人間かもしれない。

それとも宅配便?

ううん、それか……あの子かも!

心の中でほくそ笑む。これで助かるかもしれない。

あたしは渾身の力を振り絞って後ろ手に縛られているロープをほどきにかかる。

早くしなければと思えば思うほど指先が寒さでかじかみうまく動かせない。

爪を剥がされた指には激痛が走る。

顔を歪めながら必死になってロープを解く。

「やった……!」

ロープが解けた。

里子の両親はあたしの両親を痛めつけることに必死で周りが見えていない。

玄関先からカンナと誰かの話し声が聞こえる。

「あたしの勝ちよ!!」

あたしはそう呟くと、声の限り叫んだ。

「助けてぇぇぇえ―――――!!こっちに来て!!お願い!!!!」

「監禁されてるの!!警察を呼んで!!早く!!!」

玄関がパタンっと閉まる音がする。

あぁ、よかった。きっとまともな人間ならば警察を呼んでくれるに違いない。

ホッと胸を撫で下ろす。

あと数分耐えれば警察が駆け付け、カンナも里子の両親も逮捕される。

そうすればすべて終わる。

カンナのイジメ返しは失敗だ。

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