イジメ返し3
「お前、勝手なことすんなよ」

眉間にしわを寄せて今にも殴りかかってきそうなほど殺気立っている翔平ににこりと微笑む。

「え~、ダメだったぁ?」

わざと翔平を煽るようにとぼけた振りをする。

先に手を出すのはフェアじゃない。

ここで何発か叩いてくれたらいいんだけど。そうすれば、カンナも心置きなく手を出せる。

けれど、翔平はカンナを舐めるように見つめるとニッと笑った。

「まっ、いいけどよ。お前、美波のダチだしな」

美波がカンナの友達なわけがない。

カンナたちが友達になるなんて地球がひっくり返るぐらいありえないこと。

「うん!美波ちゃんとカンナは幼稚園の時からの友達だから。あっ、そうだぁ~」

そのとき、トイレのある方向から出てきた二人の人影に気付く。

カンナはニコッと笑って翔平の元へ歩み寄った。

「あのね、ちょっと翔平君に話があるんだけど、次の休み時間裏庭に来てくれる?誰にも言わないできてねぇ?」

背伸びして耳に手を当てるながらそっと囁くと、翔平の喉仏が上下した。

「わ、分かったよ」

視線の端に美波の姿を捕らえた。

カンナと翔平の姿に気付いた美波は眉間にしわを寄せてこちらを睨んでいた。
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