イジメ返し3
「しょうがないからもう言うね。もうすぐ美波ちゃん、誕生日でしょ~?だから翔平君に美波ちゃんが好きなものを聞こうと思ってて」

「は?」

「だーかーら、秘密にしようとしてたのにぃ」

ガッカリしたようにうつむくと、美波は不愉快気な表情を浮かべた。

「だったら最初から直接あたしに聞けばいいでしょ」

「だって、せっかくだから喜んでもらいなぁって。サプライズだよ~」

「サプライズ?」

「そうそう」

「ふーん。今回は許してあげる。でも、もしこれから先翔平に手出したら、アンタ殺すからね?」

美波は吐き捨てるようにそう言うと、カンナの横を通り過ぎていく。

吐き気がするほど強烈な香水の匂い。

脳が痺れる。

この匂いを漂わせている人物を思い出す。

美波の母親だ。

「ハァ……」

全身の血液という血液が蒸発したような急激なめまいに襲われ、カンナは必死に足を踏ん張って耐えた。
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