イジメ返し3
放課後になり帰り支度をしていると、前の席に座る美波が振り返った。

「今日、アンタ暇でしょ?17時に駅東口のパン屋の前にいてよね」

良いことでもあったのか美波の表情は明るい。

「パン屋さんの前にいればいいの?」

「そう。17時ちょうど」

「どうして17時なのぉ~?」

「あたしと砂羽、ちょっと行くところがあるから。17時には終わると思うからそこで待ってて」

「え~!カンナも一緒に行きたい~!」

「アンタはダメ!17時だから忘れんじゃないわよ」

美波と砂羽は互いの目を見合わせると、バッグを肩にかけて立ち上がる。

「分かったよぉ~!17時ねぇ~!」

振り返りもせず教室から出て行く二人の背中に手を振る。

「17時東口のパン屋の前、ね」

もう一度場所と時間を復唱して立ち上がる。

ねぇ、今度は一体何を企んでいるの……?

美波の机を力任せに蹴り飛ばしてやりたい衝動に駆られて大きく深呼吸する。

ダメ。まだそのときじゃない。

そう必死に自分に言い聞かせ、気持ちを落ち着かせた。
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