イジメ返し3

「ねぇ、カンナ。アンタさぁ、昔より幼くなってるんじゃない?」

「え?どういう意味~?」

「そのバカみたいなしゃべり方は幼稚園の時から全然変わってないね」

「美波ちゃん、ひっどぉーい!」

ぷくっと頬を膨らませる。

カンナの周りに集まるクラスメイト達の視線がカンナと美波に交互に注がれる。

みんなカンナと美波がどの程度の仲なのか推しはかろうとしているようだ。

女は必ずマウンティングする。

長い人生の中でほんの3年間過ごすだけの狭くて息苦しい教室内で、頭をフル回転させて自分がいかに優位に立ち快適な学校生活を送れるか考える。

バカみたい、と心の中で吐き捨てる。

自分より強い者にはしっぽを振って媚びを売り、自分より弱い者を見つければ見下して安心する。

さっきのクラスメイト達の反応や本人の言動から、美波がスクールカーストの最上部に位置しているのは間違いない。

その地位を守るために美波は先手を打ってきた。

「みんなカンナと仲良くしてあげなよ。カンナってすっごーく可哀想な子だから」

「可哀想ってなんでぇ?」

目の下が痙攣しそうになるのを必死にこらえて笑顔で聞き返す。
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