イジメ返し3
ママの写真がない。もうない。全部、燃やされた。

燃やされてしまった。

足元が抜けるような絶望を感じた。

もう二度と、あんな気持ちを味わう日が来ることはないと思っていた。

途方もないほどの悲しみと、到底考えられないほどの絶望。

そして、それ以上に募る激しい憎悪の感情。

心臓が不快な音をたてて鳴り始める。血液が逆流したかのような感覚。

座り込みながら何度も何度も痛くなるぐらいに太ももを叩いた。

「つーか、誰がそんなところで休憩していいって言った?さっさと片づけてよ」

美波の声がくぐもって聞こえる。

< 86 / 275 >

この作品をシェア

pagetop