イジメ返し3
「ちょっと、どうしたのよ!?」
玄関から飛び出してきた美波の両親は、カンナの足元を見つめて顔を歪めた。
「人の家の駐車場をよくも汚してくれたわね!?どう責任をとるのよ!!」
目の淵を怒りで真っ赤に染めた母親がカンナの前まで歩み寄り、カンナの話を聞くことなくまくしたてるように叫ぶ。
「あー、擦ったぐらいじゃ炭の色は落ちないぞ。どうするんだよ、これ!」
父親は炭バサミで必死に炭を拾っている。
「こんなに真っ黒くしちゃってどうするつもり!?」
「ごめんなさい。でも、美波ちゃんが悪いの。だってカンナのママの写真をわざと美波ちゃんが破いて炭で燃やしたんだもん」
「あのねぇ、こうやって人の家の駐車場を汚すのと、写真を破いて燃やすのはどっちの方が悪いと思う?」
急にトーンダウンした美波の母親に身構える。
「どっちの方がって……?」
「写真なんて家にいくらでもあるでしょ?1枚や2枚なくなったぐらいじゃ大したことないわよね。でも、駐車場は違うでしょ?ここを汚されたらみっともなくてご近所さんに笑われちゃうわ」
美波の母親は言い聞かすように優しい口調になる。