イジワルな彼は私を溺愛しています ②
父は困ったのか、数分間黙った。
私はバイキングのおかわりに席を立つ。
皿に料理をいくつか盛って席についたときは、父と和海が笑顔で話していた。
この2人こんなに仲良かったっけ?と、疑問に思いながらも、和海の隣に座ってさっき食べて気に入ったオムレツに手を伸ばした。
「有紀、会社作れ」
「ふぇ?」
オムレツを口に入れたまま言った。
和海が父の味方をすることに意外だったのと、オムレツの中にチーズが入っていた事による声だ。
父と母は和海に目配せして席を立つ。
「……どうして?」
オムレツを飲み込んでから言った。
「有紀のお父さんに頼まれたからだ」
正直過ぎやしないか?
「やってくれるなら、お仕置きは免除してやる」
お、お仕置き……。
すっかり忘れていた存在だ。
「でも……」
「今回は3時間走ってもらう予定だったが…」
和海がわざとらしく呟く。
3時間走る……。
そんなの箱根駅伝並に走らされるって事だ。
「どうする?」
和海が怪しい笑みを浮かべて言ってくる。
「……3時間走るって本当?」
「お仕置き1回につき1時間。3回だから3時間」
「はぃ?」
お仕置きハード過ぎません?
「で、どうする?」
究極の選択。