イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「和海、1人で着れるから」

私は多目的トイレで浴衣を着ようとしていた。床には大きな布を敷いているから、汚くはないはずた。

和海達、生徒会役員はもう袴を着ている。和海なんて、髪のセットもバッチリだ。

「それなら見てる」

和海はトイレのドアの方に立って、私が着付けをする所を見たいらしい。

「分かった」

本当は着飾った後を和海に見てもらいたかったのに。綺麗だって思って欲しかった。まあ、そんな事を伝える勇気のないのだけれど。

さっき生徒会室に届いた浴衣セットの箱開ける。

浴衣は黒に牡丹の花の大人っぽい雰囲気。帯は黄色で、黒の浴衣に鮮やかに映えるだろう。

私は和海に背を向けて浴衣を広げる。

作法の先生に教わった通りに着ていく。

お化粧はリップを薄くつけるだけにしておく。

___出来た。

後は下駄を履いたらおっけーだ。

「和海、どう?」

私はくるっと和海の方を向いた。

「っ!…//」

和海は一瞬顔を赤くして、すぐにそっぽを向いた。

て、照れている……!

私は和海が照れている事に驚き、そして徐々に私も恥ずかしくなっていくのが分かった。

「……綺麗、だ」

和海が顔を背けたままぼそっと言った。

「ぁ、ありがと//」

顔から火が出そうだ。

私は恥ずかしさに耐えられずに和海から視線を逸らした。
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