イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「有紀、水谷は何処?」
校舎をぶらぶらと和海と歩いていたら、前から兄とそのボディーガードがきた。
「亜矢?用事でもあるの?」
「俺、あの子超タイプ」
「はい?」
それは、惚れたって事なの?
「絶対落とす」
落とす。
……私の兄がまさか亜矢に一目惚れするとは。
「多分、紗知と外にいると思うけど」
「分かった。親父とお袋からのプレゼントは車とパソコンな。車はマンションにあるってさ」
兄はそう言って昇降口に向かって歩いていく。
誕生日プレゼントが車ってどうなの?運転できないし。
「挨拶しそびれたな」
和海が言った。
「兄さんにするの?気にしないと思うけど」
私は生徒会室の扉を開けて、電気をつけた。
「これ?」
長机の上には新品のパソコンが箱に入った状態で置いてあった。
「これは30万はするやつだな」
「30万?!」
誕生日プレゼントに30万?!
「流石だな」
これをあっさりと受け入れている和海が凄い。
「一々驚いてたらキリないぞ。もう、帰るか」
和海は何処からか袋を出してパソコンを入れると、生徒会室の扉を開けた。