イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「いいのよ。こんな可愛い子なんてそうそう会えるものじゃないし」
女はおほほほと今にも笑いだしそうな感じで、有紀と並んで会計の方に歩いていく。
俺は有紀の隣という場所を失い、仕方なく後ろを歩く。
この女はヒールを履いて俺と同じくらいの身長。女の中では高い方か。長い髪を上の方でひとつにくくってある。有紀の今日の髪型はお団子だ。有紀の誕生日プレゼントは髪飾りにするか。いや、それよりも……。
俺は有紀を見ながら悶々と誕生日プレゼントの事を考えていた。
「和海」
有紀に呼ばれて意識を有紀に向けた。
「なんだ?」
「聞いてなかったの?あの人が話したい事があるからあそこの喫茶店に行かないかって」
「ああいいぞ」
俺は有紀が持っている漫画が入った袋を持って、有紀の隣に並んだ。
「ラブラブですねぇ」
後ろからうるさい声。
空気読んで黙ってろよ。
「あららぁ、彼氏さん怖ーい」
俺が睨んでも堪えた様子がない。
「有紀さん、こんな人がいいんですか?」
ちっ、何なんだコイツ。