イジワルな彼は私を溺愛しています ②
萩原はフチなしの眼鏡をかけて、メモ帳を開いた。

「水沢有紀。16歳。誕生9月18日。身長156cm。体重43kg。性格、負けず嫌いな一面もあるが面倒くさがり。好きな物はBL漫画。成績は学年トップ。しかし、授業は真面目に受けていない。語学堪能。特にフランス語は得意。可愛い容姿をしており、学校にはファンクラブも存在。文化祭では喫茶店と称した写真撮影会で多大な貢献。つまり、優秀。流石社長の娘さんと言った所でしょうか」

ここまでする必要あるか?と思うくらい有紀の事を徹底的に調べてある。

「中島和海。17歳。誕生2月14日。身長178cm。体重60kg。性格、気分屋。好きな物有紀さん。文武両道。中学時代は」

「やめろ」

俺は反射的に遮った。

有紀に俺が不良だったなんて知ってほしくない。

「調べた事は心の中に閉まっとけ」

「分かりました」

女は大人しく返事をして、メモ帳をしまった。

仕草が別人のようだ。

さっきはおちゃらけていたウザイ女だったが、今はキャリアウーマンの様な雰囲気がある。

「では、私はこれで」

萩原は席を立った。

「あ、はい」

いきなり席を立った萩原に有紀が言った。

「デートをお邪魔する様な無粋な真似は致しません。私も予定が入っておりますので」

「え……」

さっきの面影はこれっぽっちもない萩原に有紀も動揺している。

萩原は「また後日伺います」と言い残して去っていった。

「何あれ……?」

「変な奴だな。行くか」

俺は有紀の手を握って喫茶店を出た。
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