イジワルな彼は私を溺愛しています ②
*side 和海

俺は疲れた体を引きずって家に帰る。

今日の忘年会はほとんど俺の品定めって感じで一瞬たりとも気が抜けなかった。

確かにこんな若い奴に社長をされてたらムカつくよなぁ。

俺はマンションのエレベーターに乗ってため息をつく。

ここ数ヶ月有紀が忙し過ぎて、全然一緒に話してない。

有紀は恐ろしいほど頑張っていて、いつか体を壊してしまうのではと心配している。

有紀はこの業界では有名人だ。

mizusawaグループ令嬢としても、
数ヶ月で全国に十店舗店を作った『天才美女高校生』としても。

有紀の秘書の萩原も尋常ではないを通り過ぎて異常レベルだ。有紀の早すぎる仕事に難なくついていき、有紀がこれ出来ない?と言ったことは三日後には終わらせている。人脈もあり、携帯を3台持って電話帳を管理しているらしい。有紀も見習わないと、と言って色んな人と電話番号を交換している。面白くないが、有紀の頑張りをみてたらそんなことを言ってはいけないような気がするからそこには目を瞑っている。

「ただいま」

声がしない。

靴を脱いでリビングに行くと有紀がソファーで寝ていた。

この頃睡眠不足だったからだろう。

「頑張り過ぎなんだよな」

俺は1人でコンビニに行ったことは有紀が起きてから怒ることにして、風呂に入った。

ダイニングテーブルに置かれた手袋とマフラー。食べ終わったあとのコンビニのおでんの容器。これだけ証拠が揃ってれば言い訳は出来ないだろう。
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