イジワルな彼は私を溺愛しています ②
有紀はどこだっ!

俺は有紀と同じ被り物をしている人の顔を確認しながら早歩きする。走りたいが人が多すぎて走れない。

「これも違う…あれも……」

どんどん店に人が入ってきて、誰を確認すればいいのか分からない。

「有紀……っ」

どんどん頭に悪いことが浮かんでくる。

「何してるの?」

ばっと後ろを振り向くと大きな袋を持った有紀がいた。

「っ!」

俺は有紀を抱きしめた。

「どこにも行くなって言っただろ……!」

「え、何で泣きそうなわけ?それに、ちょっと苦しいっ」

「死ぬかと思った……」

「何があったの?追っかけられたとか?」

「良かった……」

「ちょっと、何も分からないけど。和海に渡したい物があるの私のとお揃いで」

「勝手にどっか行くな」

俺は深呼吸してから有紀を離した。
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