イジワルな彼は私を溺愛しています ②
*side 有紀

「もう二度と俺に言わずにどこかに行くことはするな」

遊園地の帰り道の車で和海に怒られている。

「分かった。でも、お店の中だったし……」

「店の中でもだ。頼むからもっと警戒してくれ」

「わ、分かった」

和海の泣きそうな顔でお願いされたら頷くしかない。

「どうして、泣きそうになってたの?」

あの時、抱きしめられた時の和海は泣きそうな顔をしていた。

「俺は有紀がいないと壊れるから」

「?」

分からないが、聞くのははばかられた。

「明日は早いんだろ」

「そうだってお母さんが言ってた。着物着るから早めに来いって」

明日の31日と、1日は和海も私も実家に帰るように親から言われていた。

どうせなら和海と一緒が良かった。年末年始休業が終わったら、また仕事に追われる日々が始まる。和海とゆっくり出来ない。

「年越し一緒にしたかった」

「ああ、今日で今年最後か」

和海は私を膝の上に向かい合いにのせた。

「こっそり抜け出せないかな。そしたら、元旦一緒にいれるのに」

「テレビ通話でもするか?いや、気休めにもならないな」

「そうだね…」

なんだか悲しくなってきた。でも、和海に心配させたくなくて、笑った。
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