イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「有紀」

「ん?」

「辛くなったら休め。溜め込んでるとどんどんしんどくなるぞ」

「分かった」

「相談ならのってやる。ほら、泣きたいんだろ。本当はmizusawaグループ令嬢が辛いんだろ」

「っ、そんなこと……っ」

目頭が熱くなってきた。

不意打ちでそんなことを言うのは反則だ。mizusawaグループ令嬢が辛いなんて。

「今まで普通に過ごしてきたのに、ボディーガードがついて、1人で外に出れなくなって、会社の経営しなくちゃいけなくなった。それなのに、今まで通り学校に行って。辛くないわけないだろ」

「ぅ、っ……」

「いつまで気張ってんの」

「ぅく……っ」

「もういいから、俺を頼れ」

「っ、……ひっく……寂しかったの……和海とも話せてなくて……亜矢と紗知も話せなくて……」

「ああ」

「仕事が嫌だったんじゃなくて……寂しかった……」

「そうか。気づいてやれなくてごめんな」

和海は私を優しく抱きしめてくれた。

「有紀は頑張った。これからは寂しくなったら呼べ。たっぷり愛してやるぞ」

和海がくくっと笑ったのが分かった。

「あと、週に1日は休みの日にしろ。そうするだけでだいぶ変わるぞ」

「そうする……」

私は和海にしがみついたまま寝ていた。
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