イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「こ、ここです」

芽衣が止まったのは他の部屋より大きな扉だった。

「ありがとう」

私はノックして書斎に入る。

「有紀、着いたか」

「そうじゃなかったらここにいません」

父はスーツを姿で大きな椅子に座っていた。

「会社の書類はあるか」

「はい」

私は持っているカバンの中からクリアファイルを渡した。

「目を通しておく。それと、明日までにこの顔と名前を一致させとけ」

父は私に3枚のプリントを渡した。

プリントには、顔写真と名前、その人が経営している会社の名前が載っていた。

「これは最低限だ」

「もっと前に私に届けるべきでしょ。郵送とかあるのに」

「すまんな。それで、和海くんはどうした?」

「え、和海?」

「明日の元旦の席では中島家も招待したから、一緒に来てると思ったんだがな」

「和海は実家に帰るって言ってたけど」

「それなら一家揃ってくるのかもしれないな。和海くんの部屋は有紀の部屋の隣にしといたからな」

「わかった」

私は父の書斎から出た。

和海が来るとは知らずに昨日寂しいとか言って泣いてしまった。

少し会うのが気まずい。
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