イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「有紀ちゃん、今日来たの?」

自分の部屋に向う途中に萩原さんに会った。

「そう、萩原さんは?」

「私は昨日から。ここの執事が私の夫なの」

「え!萩原さんって結婚してたの?!」

「……そんなに意外?」

「ま、まあ」

意外過ぎる。

萩原さんが結婚してて、人妻……。

なんだか、負けた気がする。

「……そうとは知らずに仕事押し付け過ぎたなと思って」

「大丈夫。主人だってここに住み込みだし。それよりも、早く部屋に行った方がいいよ。この後着付けがあるんでしょ」

「あ、そうだった。じゃあまた」

私は萩原さんと別れて自分の部屋に向かって、ドアを開けた。

「お嬢様、お久しぶりです」

「お、お久しぶりです」

私は今すぐドアを閉めたい衝動と戦いつつ、返事をした。

着付けは1人でできるのに、どうしてドS先生が。

「私が着付けを致しますのでこちらに」

「……はい」

私は小さく息を吐いて先生の前に行った。

先生は妖気な笑みを浮かべている。
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