イジワルな彼は私を溺愛しています ②
父達が入って来たのはおよそ15分後だった。

父の挨拶のあと料理が運ばれて大人達はお酒を飲みながら騒いでいる。

兄も知り合いにもみくちゃにされながらどこかに連れて行かれてしまった。

つまり、私はぼっち飯。

「はぁ」

作り笑いを浮かべながらため息をつくという特技ができた。

料理は美味しい。

一流シェフが作ったのだから。

「でもな……」

なんだかんだで、気分が重い。

早く食べて、こっそり部屋に戻ろう。

父に渡されたプリントを覚えないといけないし。

私はなるべく陰を薄くして料理を平らげて食堂を抜け出して部屋に向かった。
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