イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「はぁ、どうやって有紀をおとしたの?」

兄は助けを求めるように和海に聞いた。

「秘密です」

和海はさっきの事を根に持っているのか、私の隣に座って兄の方を見ない。

「親父に盛りすぎの君には有紀はあげられないと思うって言われたくないなら教えて」

「ちっ」

和海が小さく舌打ちをした。

「ん?何か言った?」

「有紀を無理矢理一緒に住まわせた。以上です」

「……お前ら同居してんの?」

「そうですよ。だいぶ前から」

「俺にはできない芸当だわ。はあ、どうしよ。亜矢が他の男に取られたら……」

兄はまた頭を抱えた。

「兄さん、もういいでしょ。早く出ていって」

「あ、お袋からの伝言。食堂を抜け出した事について話したい事があるから早く部屋に来なさい。だってさ」

兄はそう言い残して出ていった。

「……私ちょっと怒られてくる」

私は和海にそう言って、母の部屋に向かった。
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