イジワルな彼は私を溺愛しています ②
もはや、羽山ナミは珍獣扱いだ。

「でも、和海に用があるんでしょう?」

私は目で逃げたい、と訴える。

「そうよ〜♡私は和海様に用があるの〜♡」

分かってるじゃない、と上から目線で言ってくる羽山ナミという珍獣。

「和海、そういう事だから」

私が掴まれた手をほどこうするが、和海はさっきよりも強く掴んできた。

「有紀、この方は?」

意外にも救世主は父だった。

「一応、会場にいる人の顔は覚えてるはずなんだが」

父はそう言って私達の羽山ナミの間に立つ。

「み、水沢社長……」

羽山ナミが少し震えている。これではやましい事があると教えているようなものだ。

「お父さん、私達はちょっと用事を思い出したから」

私は和海の手を引いてその場を離れた。

最後に見た羽山ナミの顔は蒼白だった。

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