イジワルな彼は私を溺愛しています ②


「頼みがある」

和海と会場内を歩いていると兄がきた。

さっきから和海と歩いている事で沢山の視線を感じる。そこに兄が来たことで更に視線を感じる。というか、周りからの視線が痛い。

「何?」

「亜矢を呼んでくれ」

兄は珍しく高揚している。

「どうして?」

「5日まで休みが取れた」

亜矢とのんびりできる数少ない機会だということか。

「俺からも頼む」

「え?」

和海が言った事に目を丸くする。

「どうせなら正樹と伊藤さんも呼べ。そしたら、水谷も来やすいだろう」

「どうして兄さんに協力するの?」

「借りがあるからな」

ならしょうがないのか。

別に亜矢が来るのは嫌じゃない。というか、大歓迎だ。

「まあ、いいけど。沙知が来たら確かに亜矢は嬉しいだろうけど、どうして渡辺先輩も?」

「知らないのか?正樹と伊藤さんは付き合ってるぞ」

「え……」

初耳だ。

「知らなかったのか?」

「学校で寝てたからか……」

地味にショックだ。

「まあ、しょうがないだろ」

「そうだけどさ」
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